「いらっしゃい、おやアンタ魔法使いかい?
いや、恥ずかしがらなくていいんだよ原料が人工の安い玉が出まわってからは
魔力節約のために買ってく魔法使いも多いしね。
えっ? 魔法なんて全然使えない?
ならなんでローブなんか着てるんだい?
ははぁ、アンタも雇われ稼業かい?
魔法使いは実入りがいいからねぇ。
ただ、これ使って自分のこと魔法使いなんて嘘ついたってすぐバレると思うよ?
ウチとしては、きちんと金払ってもらえばなんでもいいけどさ。
で、何が欲しいんだい?
<火炎>? あぁ、あれは駄目駄目。
威力は強いけどさ、そのぶん使い勝手悪いし、下手すると大火事になっちゃうし。
アンタ魔法玉つかうの初めてかい?
だったらやめときな。
そうだなアンタみたいな初心者だったら……。
<眠り>なんてどうだい?
これなら作用が地味な分、扱いやすいし何より、止めを刺すのは別の人だから雇用人の勇者さんの顔も立てられる。
あぁそうそう、あんたも雇われるなら雇い主の勇者さん顔を立てなきゃ駄目だよ。
勇者さんから意見を求められても、あくまで参考程度にとどめておくこと。
大体、職業で勇者やるやつは自分で決断したがるからね。
まっ、でも<火炎>も持っておいたほうがいいかな、
魔法使いっていうと<火炎>ってイメージもあるしね。
じゃ<火炎>二つに<眠り>五つでいいね?
お代は、え〜と3400マネね。
はい確かに。ありがとうございます。」
「んっ、いらっしゃい。なんだか今日は忙しいねぇ
で、あんたはなにが欲しいんだい?
えっ、死体を動かしたい?
生き返らせたいんだったら向こうの教会のほうに行ってもらえない?
あそこの神父さんならアル中だから酒渡せば相談乗ってくれるよ。
ん?違うの?
あぁ<死体使役>のことかい?
……高いよぉ、あれは、あんた金は持ってるのかい?
い、いや中身まで見せてもらわなくても結構。
お客さん、お金持ちだねぇ。
で、どうなさいます?
人工モノになさいますか?天然モノになさいますか?
ん?
ちょいとなんだいアンタ。このお客様と商談してるところにそんな恐い顔して。
あぁ、アンタこないだの……えっ、玉が作動しなかった?
だから天然モノにしろって言ったでしょう?
安いっていったって、人工モノは出力不足で不発になることもあるってあれだけ説明したのに。
だいたい女落とすのに<催眠>使うなんて了見自体どうかしてるんだよ。
えぇ?使おうとしたのバレて刺されそうになった?
そんなの知るもんかい。
さっ、帰った帰った。
どうもすいませんねぇ、お見苦しいところを。
で、どうします?あっ、天然モノで。
あぁそうそう、一時間ぐらいしたら<土葬>の玉を使わないと暴走しちゃいますけど。
お客さんが何に使うかは知らないけど、これもいりますか?
そうですか、これも……そうですか天然モノで。
はいっ、ありがとうございます。
「おやおや、今日は千客万来だね、いらっしゃい。
おや、お客さん美人だね、おじさんうれしいよ。
でお客さんは何が?
えっ<爆発>?
いやはや驚いたね、お客さんみたいな美人が何に使うんだい?
あぁ、あんたもアレかい?
旧王朝の埋蔵金を探してるクチかい?
あたしゃそんなものないと思うんだけどねぇ。
じゃ3000ネマね。はい、どうぞ。
……変なこと聞くけどお客さんさっきより体が縮んで……。
いや、ごめんごめん、そんなことあるはず無いよね。寝不足かな。
……ん、質問?
どうぞどうぞ、なんでも聞いてちょうだい。
えっ?魔法玉のつくり方?
お客さんも変なことに興味持つね。
まぁ、一般には公表されてないからねぇ。
んー、お客さん美人だから教えてあげるけど、ココだけの話だよ。
ちょっと前にフェアリーの種族保護のための養殖に成功したって話あったでしょ?
あれ嘘なんだよね、いや養殖自体成功したんだよ。
ただ、保護のためじゃないんだなぁ、コレが。
フェアリーの羽は魔力を持ってるからね。
ここからは私みたいな善良な市民には口にだせないなぁ。
えっ? それを売ってるお前が善良な市民なものかって?
いや、これは手厳しいなぁ。
フェアリーがかわいそうとは思わないかって?
んー、まぁこっちも商売だからねぇ。
――お客さん、体縮んでるよね?
お客さん?何言ってるの?
解放? 種の誇り?
ちょっ、その玉は……あんたフェア――」
ドン。