はや「……お餅つき?」 なの『うん。うちのお店全員で毎年やるんだけど、    今年は、はやてちゃん達もどうかな、って。    フェイトちゃん達やすずかちゃん達も来てくれるから、    もし、予定が入ってないなら是非来てね』 はや「うん、他のみんなも大丈夫やと思うから、行かせて貰うわ。    何か持っていった方がええもんとかある?」 なの「えーっとぉ……別にないかな。    あ、ずっと外でやるから、ちょっと厚着の方がいいかも」 はや「うん、わかったわ。なのはちゃんありがとうな」 なの「それとね、ごにょごにょ……」 はや「うわ、それは面白そうやねー」 はや「ちゅうわけで、もう決めてしもたんやけど、30日はみんな予定ある?」 シグ「いえ、特には……」 シャ「私も大丈夫です」 ヴィ「爺ちゃんたちも、と……と……『としのせ』はゲートボールお休みだ」 ザフィ「……我は無論」 はや「ほな、決まりやな。朝の8時には家出られるようにしといてな。    うっふっふ。楽しみやわあ」 シグ「ヴィータ、遅いぞ」 ヴィ「今行くよー」 シャ「ちょっと寒いですけど、晴れて良かったですね」 はや「ホンマやなあ、……あ、ザフィーラ!」 ザフィ「は?」 はや「今日は人間の姿の方がええかも」 ザフィ「は、主がそう言われるならば……」 はや「そうそう、今日は多分、ザフィーラ人気者やで」 ザフィ「はぁ……」 ヴィ「ねえねえはやて、餅つきって何やるんだ?」 はや「平たく言うとお餅つくだけやねんけど、半分お祭りみたいなもんやな」 ヴィ「お祭り?」 はや「みんなで集まって賑やかにするんよ。ほなみんな揃ったし行こか」 すず「あ、はやてちゃん!」 なの「いらっしゃい!」 アリ「おはよー!」 はや「おじゃましますー。お呼ばれありがとーなー」 なの「ううん、来てくれてありがとう」 はや「それにしてもすごい人数やなー」 なの「お店の方の店員さんだけじゃなくって、    お兄ちゃんやお姉ちゃんのお友達とか、    お父さんのサッカークラブの子とか、    近所の人とか、もうわからないぐらい」 はや「そういうたら、フェイトちゃんは?」 なの「リンディさん達と一緒に来るから少し遅れるみたい。    昨日の夜のメールにそう書いてあったの」 はや「そーかー、管理局も大変やなー」 桃子「あなた、第一陣がそろそろ蒸し上がるわよ」 士郎「ああ、じゃあ始めるかなー。    では、恒例の一番杵を決める腕相撲大会を始めます。    我こそはと思う人は前にどうぞ!」 なの「はやてちゃん!」 はや「うん。    ザフィーラ、行っておいで」 ザフィ「いや、我は……」 はや「ええからええから。そのために人間形態で出てきて貰ろたんや。    魔法でズルしたらあかんけど、あんたやったら十分に勝てる。    たまには格好ええとこみんなに見せたり」 ザフィ「はぁ……」 フェ「おはよう、みんな」 なの・アリ・すず・はや「おはよう!」 リン「今日はご招待いただきまして」 桃子「いえいえ、いつもご贔屓にして頂いてありがとうございます」 美由希「あ、エイミィいらっしゃい!」 エイ「おー、美由希ちゃーん! おひさ!」 恭也「はーい、そろそろ腕相撲締め切りますよー」 クロ「……なんか僕たち場違いだな」 ユー「……そんなことないんじゃないかな」 桃子「がんばってね、あなた」 士郎「うん。でも、去年は恭也に1本取られてるしなあ」 恭也「なんとか、ギリギリだけどね」 忍 「恭也もがんばって」 シャ「ザフィーラ、大丈夫?」 ザフィ「うむ。……あまり注目を浴びるのは慣れてはいないのだが……     主はやてが嬉しそうに応援してくれているからな、負けるわけにはゆかぬ」 アルフ「ちょっと待ったぁ! あたしも出るよ!」 フェ「アルフ?」 アルフ「あいつとは、一度きっちり勝負を……」 フェ「……魔法使っちゃダメなんだよ?」 アルフ「大丈夫さね!」 桃子「はーい、それでは今年は4人ですね。    クジで対戦相手決めますから、順に引いてくださーい」 士郎「フェイトちゃん家のアルフさんか。女性だが確かに強そうだ」 アルフ「なのはのお父さん……魔導師じゃないのに、なんだかすごい人だねえ」 恭也「コートの上からでもありありとわかる鍛え上げた体躯……    それに、この人は明らかに実戦くぐってるな」 ザフィ「ふむ、さすが魔導師なのはの兄……恐ろしくとぎすまされた戦人のにおいがするな……」 なの「うっそー! お父さんがお兄ちゃん以外に負けるの初めて見たー!!」 美由希「あたしもだ……」 はや「さすがザフィーラやなー!」 シャ「そりゃあもう」 シグ「魔力を伴わない力比べなら、私でも勝てません」 ザフィ「……決勝はお前か」 アルフ「いつぞやの勝負、まだケリはついてないからね!」 美由希「はい、それじゃ。 レディ……GO!!」 アルフ「……くっ」 ザフィ「いや、大したものだ。身体の大きさを考えれば、な」 はや「ザフィーラ、やったやん!」 アリ「すごい筋肉……プロレスラーかな?」 すず「わかんないけど……はやてちゃんの親戚の人だって」 アリ「なんか格好いいねー」 すず「そうだね」 はや「あはは、ザフィーラもてもてやなあ」 ザフィ「……////」 アルフ「……ああ、くやしぃー!!!!」 フェ「アルフ、おつかれさま」 アルフ「うわーん、フェイトー!!」 恭也「父さん……」 士郎「いや、まいったな、技抜きとは言え。……世界は広いな」 恭也「はい、父さん」 美由希「えっと、ザフィーラさん?」 ザフィ「うむ」 美由希「はい、それじゃあコレ、お願いしますね」 ザフィ。o○(……木製のハンマー?       グラーフアイゼンにそっくりだな、しかし) はや「ああ、ザフィーラごめん。説明してへんかったな。    それであそこの入れもんにはいってる餅米たたくんや    あんまり力入れすぎたらあかんで?    それから、途中で裏返す人の手も勿論や」 ぺたこん 桃子「はいっ!」 ぺたこん 桃子「はいっ!」 士郎「がんばれー!」 なの・フェ・アリ・すず・はや「よいしょ!」 シグ・シャ・ヴィ・恭也・忍「よいしょ!」 リン・エイ・美由希・クロ・ユー「よいしょ!」 桃子「はい、ザフィーラさんストップ!」 ザフィ「承知」 桃子「はい、お疲れさま。さあ、みんなで頂きましょ。    なのはちゃん、小分けのお手伝いしてくれる?」 なの「はーい!」 すず「じゃあ、私たちも」 フェ「うん」 アリ「じゃあ私はお皿配るよ」 美由希「えーっと、お醤油、きなこ、あんこ、砂糖、海苔……っと」 桃子「あ、美由希、バターはそっちよ」 アルフ・ザフィ「!!!!」 なの「出来立て、おいしーね」 はや「うん。柔らかいなー」 エイ「やっぱこうでないと!」 クロ「初めて食べるけど、美味しいな。素朴な味だ」 ユー「うん。不思議と懐かしい味だね」 ぺたこん 忍「がんばって」 ぺたこん 忍「そーれ!」 桃子「はーい、焼けたわよ」 リン「あら、いただきまーす」 美由希「リンディさん、それ砂糖醤油の砂糖つけすぎじゃ……」 はや「ぜんざいの用意出来ましたよー」 ぺたこん ヴィ「このっ!」 シャ「はい」 ぺたこん ヴィ「えいっ!」 シャ「上手」 シグ「さすが、グラーフアイゼンの使い手だな」 ザフィ「うむ」 士郎「あの歳にしてあの手裁き……なのはのお友達はすごいな」 なの「うんっ!」 士郎「さあ、鏡餅とか作らないとな」 恭也「さ、もう一息だ」 ザフィ「では、我も……」 ぺたこん ぺたこん 冬の高い高い空に、笑い声と杵の音がこだましてゆく。 色々あったけど、今年はよい年だった 色々あるだろうけど、来年もきっとよい年だろう。